イノベーションストーリー

Innovation Story

研究所にある小さな「王子の森」

王子の研究所の中心拠点にある「響きの庭」ご紹介

東京都心。イノベーション推進本部の研究所には、静かに広がる小さな森 があります。
「響きの庭」と名付けられたこの場所は、研究員にとっての憩いの場であると同時に、王子グループの森林への取り組みを象徴する存在でもあります。
ここには、王子グループが長年にわたり向き合ってきた森林資源の研究、保全、そして海外植林事業へとつながる物語が息づいています。





都心に広がる、研究所の小さな森

「響きの庭」は、東京都江東区・東雲にある研究所の入り口に広がっています。
春にはフサアカシアの黄色い花が咲き、ヤエザクラや新緑が庭を彩ります。初夏にはシマトネリコの白い花が咲き、秋にはイロハモミジが紅く色づき、冬にはクロガネモチが鮮やかな赤い実をつけます。
この場所にはヒヨドリやメジロ、シジュウカラなどの野鳥も訪れ、都心にありながら、生きものにとっての貴重な拠りどころにもなっています。
四季の変化を感じられるこの庭 は、日々研究に向き合う多くの研究員にとって、癒しとなっている存在です。

<左図>春のフサアカシア <右図>訪れる野鳥

「響きの庭」をかたちづくる樹々

約1,710㎡の敷地に広がる「響きの庭」には、約24種類の樹種が植えられています。
なかでも象徴的なのが、「ウツクシマツ」と「ユーカリ、 アカシア」です。

遺伝資源を未来へつなぐ「ウツクシマツ」


ウツクシマツは、アカマツの変種で、枝分かれの多い独特な樹形をしています。
昭和40年代、滋賀県にある天然記念物指定のウツクシマツがマツクイムシ被害により絶滅の危機に瀕した際、王子グループは京都大学と共同で繁殖・育成の研究に取り組み、遺伝資源の保存に貢献した歴史があります。

海外植林を支えるユーカリ、アカシア


ユーカリやアカシアは、王子グループの海外植林事業を支える主要な樹種です。
庭には、ユーカリグロブラスやユーカリカマルドレンシス、ユーカリダニアイなどが植えられており、これらは実際に国内の紙パルプ工場で使用されてきた樹種です。

<左図>ウツクシマツ <右図>ユーカリ・アカシアのエリア

異なる土地で育つ木々が伝える、森林づくりの難しさ

ユーカリやアカシアは、成長が早いことから早生樹と呼ばれ、6~20年程度の短い期間で収穫することができます。成長が早いという特性を活かし、王子グループのアジア、オセアニア、南米などの社有林において、これらの樹種が植えられてきました。王子グループの海外植林事業では、 早生樹の植林と環境に配慮した森林経営に取り組んでおり、木材原料の確保だけでなく、CO₂の吸収・固定、現地の雇用・産業の創出などを通じて、地域社会にも貢献しています。
一方で、植林には「適地適木」が大原則とされています。海外では良好に生育するユーカリなどの早生樹も、日本の気象条件下では必ずしも同じように育つとは限りません。「響きの庭」に植えられた当初は、風倒被害も経験したといいます。
「響きの庭」に植えられたこれらの樹種は、海外植林事業の奥深さと同時に、森林づくりの難しさを伝えています。

海外社有林(ベトナム)

研究所の庭と、世界の森林を結ぶ取り組み

「響きの庭」には、遺伝資源を守る研究の歴史、海外植林の姿、そして持続可能な森林資源を未来へつなごうとする王子グループの姿勢が凝縮されています。
研究所にあるこの小さな森 は、王子グループが、研究と現場、そして国内と海外の森林をつないできたことを物語っています。
研究所を訪れる機会があれば、ぜひ足を止めて「響きの庭」を歩いてみてください。
目の前に広がる木々の向こうに、世界へとつながる王子グループの森林づくりの歩みを感じていただけるはずです。

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