イノベーションストーリー

Innovation Story

地球冷却微生物を探せ

― 広大な王子の森が支える社有林の土壌研究 ―

森林資源研究センターは、2024年10月から、東北大学が主導する市民科学プロジェクト「地球冷却微生物を探せ」に参画しています。
本プロジェクトでは、日本全国の市民から集めた土壌を解析し、一酸化二窒素(N₂O)を分解する微生物(地球冷却微生物)の探索を行っています。



土壌微生物の力で地球温暖化を防ぐ

「地球冷却微生物を探せ」は、日本各地から集めた土壌を解析し、一酸化二窒素(N₂O)を分解する微生物(地球冷却微生物)を探索するプロジェクトです。(「地球冷却微生物を探せ」HP | https://dsoil.jp/cool-earth/lab/sib/
N₂Oは、CO₂の約265倍の温暖化効果をもつ気体で、大気中の濃度は年々上昇しています。そのため、N₂O排出削減は地球温暖化防止に向けた重要な課題です。

土壌微生物によるN₂O削減の仕組み
(図:引用:「dSOIL 微生物による地球冷却」HP | https://dsoil.jp/

不足していた「森林土壌」を提供し、研究を支援

これまでに、N₂Oを分解する微生物の存在は知られていましたが、より高い分解能力をもつ未知の地球冷却微生物の探索が求められています。そのためには、多種多様な土壌を幅広く収集することが不可欠です。
しかし、本プロジェクトでは公園や畑などの身近な土壌は集まりやすい一方、アクセスの難しさから森林土壌のサンプルが不足していました。
そこで、森林資源研究センターは王子の森の森林土壌を提供し、本プロジェクトを支援しています。こうした取り組みを通じて、地球温暖化防止への貢献を目指しています。

森林土壌の採取の様子(研究用途として、管理された王子の森で土壌サンプルを採取する様子)

全国に広がる王子の森という独自の強み

王子グループは、民間企業として国内最大となる約650カ所、18.8万ha、広さにして大阪府の面積に匹敵する森林を維持・管理しています。北海道から九州まで広がる王子の森は、気候帯や土壌条件が多様で、さまざまな土壌微生物の生息環境となっています。この強みを活かし、全国規模の土壌を提供することで、地球冷却微生物の探索を後押しするとともに、森林土壌における微生物多様性データの蓄積にも貢献しています。

日本全国に広がる王子の森 
(図:引用:「王子木材緑化株式会社 | 林業経営事業 | 森づくりは資源づくり」 | http://www.oji-fp.jp/002_resource/002_resource.html

土壌で生活する多様な微生物

土壌は、地球上でも特に微生物多様性の高い生態系の一つです。大さじ1杯の土には、約1万種類、100億個もの細菌が存在するとされ、微生物の種構成は環境条件によって異なります。本プロジェクトにより、王子の森では、地域ごとに特色のある微生物群集が形成されていることが明らかになりました。これは、王子グループが多様な土壌環境を維持・管理してきたことを反映しています。
こうした多様な微生物群集を背景に、将来的に人の健康や環境に有用な未知なる微生物が王子の森で見出されるかもしれません。

<左図>土壌から発生する気体の分析 / <右図>王子の森の微生物群集パターン

森林土壌も守る企業の責任

森林土壌は、樹木の生育基盤であるだけでなく、水源涵養や炭素貯蔵など多くの機能を担っています。一方で、日本では森林土壌が1cm形成されるのに100〜1,000年かかるとされ、土壌の多面的な機能を永続的に発揮するためには、保全と適切な管理が欠かせません。王子グループは、ネイチャーポジティブの考え方のもと、土壌を含む森林の多面的機能の維持・拡大を進めています。
本プロジェクトへの参画は、こうした森林管理の強みを活かして、学術研究や社会に貢献する取組みです。王子グループは今後も、森林と土壌の可能性を探求し、環境課題の解決に取り組んでいきます。

多様な樹種を育んでいる王子の森(北海道 湧別山林)

#微生物 #一酸化二窒素(N₂O) #地球温暖化対策 #土壌 #多面的機能 #森林 #王子グループ

「dSOIL 微生物による地球冷却」HP | https://dsoil.jp/(外部サイト)


森林資源研究センター


”森林を健全に育て、
その森林資源を活かした製品を創造し、社会に届けることで、
希望あふれる地球の未来の実現に向け、時代を動かしていく"

という、王子ホールディングスのパーパス(存在意義) の意味をより深く探求するために、
2023年7月に新しく生まれた部署です。
王子グループ内外の会社・部署とも連携し、森林資源の可能性を探求します。

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