イノベーションストーリー

Innovation Story

王子の森が持つ水源涵養機能

― 林野庁の評価手法による水資源涵養量の試算 ―

森林資源研究センターは、2026年3月に林野庁が公開した「水資源涵養量(貯留機能)の簡易評価手法」に基づいた国内社有林の水資源涵養量の評価に取り組んでいます。



水源涵養機能とは?

森林は、CO2を吸収し木を育むだけでなく、土砂災害の防止や生物多様性の保全など、私たちの暮らしや産業を支えるさまざまな機能を担っています。その一つに水源涵養機能があります。
水源涵養機能とは、森林が水資源を貯え、洪水を緩和し、水質を浄化する働きを指します。これらの働きは、地形や土壌、森林の管理状況などの影響を受けるため、数値として客観的に示すことは容易ではありませんでした。
こうした背景を踏まえ、林野庁は、森林が雨水を土壌に蓄え、時間をかけて河川や地下水へ供給する働きを示す指標として「水資源涵養量」を新たに定義し、その算出ツールを公開しました。
(林野庁HP | https://www.rinya.maff.go.jp/j/suigen/suigen/attach/pdf/260311-7.pdf)

水資源涵養量=降水量-(直接流出量+蒸発散量)
(図:引用:林野庁「林地における水資源涵養量(貯留機能)の簡易評価手法」(令和8年3月) | https://www.rinya.maff.go.jp/j/suigen/suigen/attach/pdf/260311-7.pdf)

水資源涵養量の見える化

王子グループは、民間企業として国内最大となる約650カ所、18.8万haの社有林を維持・管理しています。その広さは、東京ドーム約4万個分に相当します。今回は、その中から新潟県と北海道の社有林の一部を対象に、林野庁の手法に基づき水資源涵養量を評価しました。試算にあたっては、実際に社有林へ足を運び、現地調査やドローン計測により、樹高や胸高直径、立木密度など必要なデータを取得しました。
試算の結果、例えば、新潟県の広葉樹林では、東京ドーム0.5個分に相当する面積で年間約43,000 m³、生活用水に換算して約430人分の水を涵養していることが分かりました。

<左図>胸高直径を測定する様子(新潟県) / <右図>ドローンによる樹高解析の様子(北海道)

定量評価で示す持続可能な森林経営の成果

水資源涵養量を定量化することで、
 ・森林保全の必要性を客観的な数値で説明できる
 ・森林を適切に管理している成果を具体的に示すことができる
 ・森林保全活動への理解や支援を促すことができる
 ・J-クレジットなどに環境価値という付加価値を付与できる
といった効果が期待されます。このような定量評価は、持続可能な森林経営の成果を客観的に示す有効な手段です。
王子グループでは、計画的な森林整備・保全活動を長年にわたり継続しており、国内社有林の100%でSGEC森林認証*3を取得するなど、その取り組みは第三者認証によっても評価されています。
今回の水資源涵養量の試算は、持続可能な森林経営の成果を定量的に捉えようとする取り組みの一つです。
*3 持続可能な森林経営が行われていることを第三者が認証する日本発の森林認証制度。

現地調査から広がる、森林の多面的な価値の見える化

森林の多面的な価値をより立体的に捉えるため、現地調査にも力を注いでいます。調査対象の一つは、海に面した新潟県内の社有林です。「森は海の恋人」という言葉が示すとおり、森林は水の流れを介して栄養塩やミネラルを海へと届け、沿岸の生態系を育む重要な役割を果たしています。この社有林では、流量計測や水質調査、河川に生息する生物の調査を実施し、水資源涵養量の評価にとどまらず、森林が持つ多面的な価値の可視化に取り組んでいます。森林資源研究センターは、長年にわたり維持・管理してきた社有林をフィールドとして、森林が社会にもたらす価値を明らかにしていきます。

<左図>河川の水質調査の様子/ <右図>社有林に隣接した海

#水源涵養 #水資源涵養量 #多面的機能 #森林 #持続可能な森林経営 #王子グループ

林野庁HP | https://www.rinya.maff.go.jp/j/suigen/suigen/260311.html(外部サイト)


森林資源研究センター


”森林を健全に育て、
その森林資源を活かした製品を創造し、社会に届けることで、
希望あふれる地球の未来の実現に向け、時代を動かしていく"

という、王子ホールディングスのパーパス(存在意義) の意味をより深く探求するために、
2023年7月に新しく生まれた部署です。
王子グループ内外の会社・部署とも連携し、森林資源の可能性を探求します。

森林資源研究センターのご紹介ページ



Cookieの利用について

このウェブサイトはクッキーを使用しています。このサイトを使用することにより、プライバシーポリシーに同意したことになります。