イノベーションストーリー

Innovation Story

海外研修について③ -ブラジル編 –

Oji Papéis Especiais Ltda.

イノベーション推進本部では、国際的に活躍する研究開発人材の育成を目指し
王子イメージングメディア株式会社の協力のもと、海外拠点への出向制度を実施しています。
研修生たちは、ドイツ、アメリカ、ブラジル、タイなど、幅広い地域で貴重な経験を積んでいます。
今回は、ブラジルで活躍するS.Aさんに、現地での業務や生活、そして得た経験についてお話を伺いました。

S.A

S.A

出向先/ブラジル
Oji Papéis Especiais Ltda.
(以下OPE)
イノベーション推進本部海外研修生

製紙産業で培った水処理技術を統括するため国内外で活躍

イノベーション推進本部での経歴について

大学・大学院時代 生命科学専攻
2018年入社 INV推進本部GX研究開発センター(旧:紙パルプ革新センター)で研究開発職として約6年半勤務。
製紙産業で培った水処理技術を活かし、国内外の工場にて水処理設備の調査・設計・施工・管理まで総合的に担当。
設計業務で得た計装分野の知識を生かし、遠隔監視など水処理設備向けIoTシステムの開発にも携わる。
2024年 海外研修生として感熱紙・ノーカーボン紙の製造販売を行うOPEへ出向

語学力を磨き、現地経験を積む絶好の機会を信じて

海外研修制度に応募した経緯を教えてください。

S.A S.A
水処理技術に携わっていた前職種では、国内外の工場に立ち入る機会が多かったですが、現場を知らないままに開発を進めていることに不安を感じていました。また海外出張の機会もありましたが、自身の経験と語学力の乏しさを痛感させられることばかりでした。そんな中、海外事業所で駐在しながら研修する制度の案内が届き、経験を積む絶好のチャンスなのではないかとワクワクしながら要項を読み進めました。もちろん技術・語学・現地生活・文化など不安を数え上げたらキリがありませんでしたが、今後のキャリアパスを描いた時に、自身の成長に繋がる分岐点になると信じ、勇気を出して応募しました。

未知の市場ニーズに挑み、開発した新商品が社会に出る達成感

現在の業務内容と、そのやりがいについてお聞かせください。

S.A S.A
現在は、新商品開発・既存製品コストダウン・操業改善など、多岐に渡る業務に携わっています。特に新商品開発は、ブラジルという自分にとって未知の市場ニーズから勉強する必要があり、最初は戸惑いながら業務にあたりました。調査のために展示会を見学したり、試験には社内外問わず足を運んだり、日本サイドとも連携して情報を集めたり、自分なりに苦心しながらプロジェクトを進めました。
周囲の温かい協力のもと、開発品が社会に実装されていく工程に立ち会えていることが、一番のやりがいだと思います。

前向きな思考とフラットな関係で楽しく働く職場文化

海外で働いて、日本の働き方とはどのような違いを感じましたか?

S.A S.A
経済も人口も伸び続けている影響か、前向きな思考のもとに皆業務に取り組んでいると感じます。仕事のレビューをする際は特にそうで、良い点のみを中心に評価するのが自然な流れとなっており、モチベーションの維持に一役買っている印象を受けます。また、上司-部下関係なくファーストネーム/ニックネームで呼び合い、意見や質問もフラットに発言します。総じて、全員が楽しく働くことをモットーに行動する文化なのかなと感じています。

自由奔放な文化とフレンドリーな人々

海外で暮らして、日本の暮らしとはどのような違いがありましたか?

S.A S.A
地球の反対側なので当然ですが、文化が違うことに最初はよく戸惑いました。街中の男性は上裸・鼻歌混じりで歩いていますし、食事は豪快な味付けが大半、家の中は普通に使っているだけでよく物が壊れます。ただ、そんな自由奔放さも、一周回ると面白く感じられ、フレンドリーで明るい人柄に触れることで、元気をもらうことの方が多いです。
私は家族帯同で赴任しているため、子育てという観点でとても良い変化だと感じています。ブラジルは先進諸国と比較して、子供に対して非常に寛容な国ですし、我が子は友達と会うたびに南米特有のハグを受け、日本にいた時よりモテモテです。
細かいルールなど、異国ゆえ多少異なることもありますが、周囲の方は皆大らかで協力してくださる方ばかりなので、助かっています。お返しにアニメグッズや日本菓子のお土産をプレゼントすると、心の底から喜んでもらえます。裏表のない純粋な方々が形成した文化の上に生活が成り立っており、日本とは違った良さがあると思います。

(左)囲まれるわが子/(右)歓迎会では食べきれないほどの料理でおもてなし

資源豊富な国ならではの独特な環境配慮の進化の形。
ガソリンでもエタノールでも走る「フレックス車」

「環境への配慮やエコ意識」の違いを感じることがありますか?

S.A S.A
工業だけでなく農業大国でもあるブラジルでは、資源不足に陥るリスクも低いためか、基本的に環境への意識は高くないと感じます。
一方、日本にはない環境への配慮でびっくりしたのは、ガソリンでもエタノールでも走る「フレックス車」の普及です。
ガソリンスタンドでは必ずガソリンとエタノールが並んでいて、フレックス車ユーザーは好きな燃料を選択できます。
このエタノールの一部は、ブラジルが世界最大生産量を誇るサトウキビなどから作るバイオエタノールが使用され、70年代のオイルショックを契機に国家主導で進めたプロジェクトが、昨今のエコ意識と相まって発展していったとのことです。
ハイブリッド車などの技術で発展した日本の自動車産業とは異なり、ブラジルの風土を活かしながら原油依存脱却を行った歴史に驚かされました。

ガソリンスタンドではエタノールが車の燃料として販売している

家族で楽しく開拓する大自然、異文化、日本の食材探し

海外生活で、休日はどのように過ごしていますか?

S.A S.A
休日は家族で近郊の散策し、素晴らしい景色を共有して楽しんでいます。ブラジルと言えば大自然なので、居住地近郊のスポットを中心に探索しています。少し街を出れば自然豊かな景色を楽しめますし、ヨーロッパ文化が主流のため、教会やキリスト像などが至る所に点在しています。街中は英語がほとんど通じず、HPも当然ポルトガル語なので情報収集は一苦労ですが、その分穴場を見つけた時は家族で喜びを共有できます。今後は連休などを利用して、日本の22.5倍も国土があるブラジルを満喫する国内旅行にチャレンジしたいです。
また、週末は1週間分の買い出しが必要ですが、近所のスーパーマーケットでは日本の食材は入手しきれません。そこで、再度HPと格闘しながら食材を調べたり、おいしい日本食が食べられそうなレストランを探しにいったりと、冒険者になった気持ちで周囲を開拓しています。週末の家族とのリフレッシュのおかげで、また月曜日から業務と向き合うことができていると感じています。

(左上)ブラジルならではの広大な大自然/(左下)もちろんサッカー観戦も楽しめます/(中央下)豪快に焼かれた肉もお国柄
(右上)São Pedro市のカトリック教会 /(右下)Piracicaba市の旧製糖工場

収益向上に貢献し、海外駐在経験を活かした開発に取り組みたい

最後に、海外での経験を今後どう活かしたいか教えてください。

S.A S.A
直近の目標としては、コストダウン・操業改善などでOPEの収益向上に貢献することです。取り組むべきことは多いですが、ここまで構築した関係性を活かして、目の前の案件ひとつずつと向き合っていきます。研修完了後は、海外駐在の経験を活かし、王子ホールディングスが持つ国内外のリソースを活かした開発に、従事したいと考えています。


OPE:Oji Papéis Especiais Ltda.


王子イメージングメディア株式会社の海外拠点【ブラジル】



Oji Papéis Especiais(OPE)は、サンパウロ州ピラシカバ市にあり、サンパウロ市の北西160kmに位置しています。
南米における感熱紙、ノーカーボン紙の生産拠点であり、特に感熱紙市場で大きなシェアを誇っています。

OPE:http://ojipapeis.com.br/
王子イメージングメディア株式会社:https://www.ojiimagingmedia.co.jp/


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