イノベーションストーリー

Innovation Story

海外研修について④ -タイ編 –

Oji Paper (Thailand) Ltd.

イノベーション推進本部では、国際的に活躍する研究開発人材の育成を目指し
王子イメージングメディア株式会社の協力のもと、海外拠点への出向制度を実施しています。
研修生たちは、ドイツ、アメリカ、ブラジル、タイなど、幅広い地域で貴重な経験を積んでいます。
今回は、タイで活躍するL.Sさんに、現地での業務や生活、そして得た経験についてお話を伺いました。

L.S

L.S

出向先/タイ
Oji Paper (Thailand) Ltd.
(以下OPT)
イノベーション推進本部海外研修生

日本国外で学び、製紙技術以外の多岐な業務に従事

イノベーション推進本部での経歴について

大学・大学院は 工学研究科専攻(私は中国国籍であり、学部(化学工学系)卒業までは中国で生活していました)
入社~2019年 王子独自技術「微細構造ナノドットアレイ」のアプリケーション開発および量産化検討などに従事。
2019年~2024年 知的財産部にて特許関連業務を担当。
       主に、社内特許出願の支援や他社特許の調査・対応など。
2024年8月  海外研修生としてOPTへ出向。

自身や王子グループの成長のために

海外研修制度に応募した経緯を教えてください。

L.S L.S
INVの海外研修生募集を見た瞬間、「これは良いチャンスだ!」と思いました。
王子グループは現在、世界23か国に展開しており、INV部門の業務においては、各国の多様な技術や市場動向に注視する必要があります。その点に大きな魅力を感じています。もし海外で勤務する機会が得られれば、現地の経済・文化、そして人々の価値観を肌で感じてみたいと考えました。
また、王子グループの海外売上高比率がますます高まっていく中で、海外関連業務に携わる人材の重要性も増していくと考えています。今回の研修(駐在)は、そうした将来に向けた可能性を広げる貴重な経験になると思いました。
家族も賛成してくれたため、帯同での赴任を決意し、応募しました。

新製品開発や顧客対応で東南アジアの市場競争に挑む

現在の業務内容と、そのやりがいについてお聞かせください。

L.S L.S
私の業務はR&Dにおいて、新製品の開発および顧客クレームへの技術的対応です。
OPTでは感熱紙、ノーカーボン紙、ラベルの製造・販売を行っており、それぞれの製品の技術や市場状況が異なるため、学びながら業務を進めております。
製品によっては競争が激しい市場もあり、いかにコストダウンを図りつつ、利益率の高い製品を開発するかが重要です。そのため、OPTのR&Dでは、東南アジアを中心とした原材料や顧客に関する市場状況に応じて、迅速な対応を余儀なくされています。
自分の業務を通じてダイレクトに売上に結びついていることを実感しています。

多言語環境と女性活躍が際立つタイでの働き方

海外で働いて、日本の働き方とはどのような違いを感じましたか?

L.S L.S
印象的だった点を2つ挙げます。
まず、最も違いを感じたのは言語です。タイではタイ語が主要言語ですが、OPTのマネージャー社員とはすべて英語で会話が可能であり、通訳なしでも業務に支障はありません。顧客も東南アジアの企業が多く、英語や日本語が主に使用されますが、会議ではタイ語や中国語など、多言語で会議される光景も見られます。
次に、OPTの工場では社員の3~4割が女性で、私の所属するR&D部門のメンバーのほとんどが女性です。多くの女性社員が子育てをしながら、仕事と家庭を両立させて活躍されています。

暖かな気候と多彩な味覚の食文化、仏教が根付く生活

海外で暮らして、日本の暮らしとはどのような違いがありましたか?

L.S L.S
住居は日本人駐在員が多く集まるエリアにあり、会社からのサポートも受けられるため、生活面で特に不自由はありません。ただし、日本語や英語が通じる場所は限られており、外出時には通訳アプリをよく使用しています。
食事については、タイ料理は辛味・酸味・甘味が特徴で、私の口にもよく合います。周辺には日本料理や中華料理の店もあり、本格的な味が楽しめます。
タイは熱帯気候で、雪景色を見ることはできませんが、一年を通してプールに入ることができます。
文化面では、タイでは仏教が国教とされており、日常生活の隅々にまでその影響が見られます。多くの家庭や職場には仏像が祀られており、仏歴の使用や合掌による挨拶などがその例です。
また、僧侶が社会的行事や政治的イベントに参加することもあり、タイならではの文化を実際に知り、体験することができます。

(左)日常的に仏教が根付いている文化/(右)市場でみつけた虫料理!

エコ意識が発展途上の中、外資系企業の影響で環境配慮が浸透

「環境への配慮やエコ意識」の違いを感じることがありますか?

L.S L.S
タイは新興国であり、「環境に対する配慮/エコ意識」は発展途上と考えられます。
例えば、政府や住民のゴミ分別の意識はあるものの、日本ほど徹底されているとは言えません。今後はさらなる意識の向上と、政策面での試行錯誤が求められるでしょう。
一方、タイには外資系企業が多く進出しており、それらの企業は自国本社の環境ポリシーをタイ支社にも適用していると考えられます。世界的に環境への配慮が求められる中で、タイでもグローバル基準のポリシーが徐々に浸透しており、それに伴って国民の意識も変化し、標準として受け入れられていくと期待されます。

子供の習い事や観光も充実、連休には東南アジア旅行も

海外生活で、休日はどのように過ごしていますか?

L.S L.S
休日は、子供の習い事の送迎や、バンコク周辺でのショッピングや食事を楽しむことが多いです。
バンコクには日本人学校や受験塾もあり、子供の教育環境は日本と同等といえるほど整っています。
タイは観光業が盛んで、観光客向けの店舗が多数あります。日本の店舗が集まるエリアもあれば、中華街もあり、さまざまな文化を楽しめます。また、タイ地元のショッピングモールやナイトマーケットも多く、生活を十分に楽しむことができます。
連休には、タイ国内旅行はもちろん、近隣の東南アジア各国への旅行にも便利です。

(左上)ゾウさんの水中散歩/(左下)ナイトマーケット/(右)タイの動物園

顧客に近い今の経験を活かして、将来は異文化コミュニケーションでグローバルな業務に貢献したい

最後に、海外での経験を今後どう活かしたいか教えてください。

L.S L.S
OPTでの技術業務の経験を今後も活用していきたいと考えています。
感熱紙などの製品技術をはじめ、サプライヤーや顧客とのやり取り、市場動向に対する考え方などは、今後の業務アプローチを検討する上で大いに参考になると思います。
例えば、知的財産部の業務では、発明の技術を文書で理解する場面が多くあります。今回の海外業務の経験を通じて、技術の開発工程や市場の状況に対する理解を深めたことで、各国における知財方針を立てる際に、アイデア出しやリスク予測のためのイメージモデルとして活用できると考えています。
また、異文化環境でのコミュニケーション経験を活かし、今後はグローバルプロジェクトにも携わり、貢献していきたいと考えています。文化の違いは言語以上の壁であると感じています。異文化を理解することが理想ですが、すべてを完全に理解することは難しいという認識のもと、妥当なコミュニケーションを取りつつ物事を前に進めていくという実践経験は、今後の業務において貴重な財産となり、自信にもつながると考えます。


OPT:Oji Paper (Thailand) Ltd.


王子イメージングメディア株式会社の海外拠点【タイ】



王子イメージングメディアのタイの拠点は、バンコク中心部から東に約140km、
水資源が豊富で製紙業に適しているプラチンブリ県に位置しています。
OPTでは主に感熱記録紙、ノーカーボン紙、粘着紙、工程剥離紙の生産・販売を手掛けています。

OPT:http://www.ojipaper.co.th/
王子イメージングメディア株式会社:https://www.ojiimagingmedia.co.jp/


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