イノベーションストーリー

Innovation Story

木質由来のエタノール・糖液の量産化に向けて

設備導入に係る協定書調印式

木質由来エタノール・糖液のパイロット設備導入に係る協定書調印式が行われました

イノベーション推進本部バイオケミカル研究センターでは、持続可能な森林経営によって得られた木材を原料として、社会の脱炭素化に貢献する「木質由来の新素材」の開発を進めています。
王子製紙米子工場内に設置する木質由来エタノール・糖液のパイロット設備(2023年5月12日発表)とその運用に対し、鳥取県、米子市、日吉津村から支援をいただくことになり、この度、4者による協定書調印式が、2023年12月22日に行われました。

調印式には王子ホールディングス株式会社の磯野CEOも参加し、「地球温暖化に対して大きな役割を果たす事業であり、課題を抽出し、なるべく早く量産化の段階に移行したい」という意気込みを示しました。

署名した協定書を掲げる磯野社長(左から3人目)ら=22日、米子市の米子ワシントンホテルプラザ

木質由来のエタノールや糖液について

社会的に脱炭素の動きが拡大し、石油の代替原料のニーズが高まっています。このような背景の中、バイオケミカル研究センターでは、非可食であり、食糧と競合しない木材パルプを原料として、エタノールや糖液の量産技術の研究に取り組んでいます。
(バイオケミカル研究センターのページへ)

王子製紙米子工場内に設置されるパイロット設備では、木質由来の「糖液」と「エタノール」の製造実証を行います。これらの素材は、どちらも汎用性が高く、石油由来の製品の代替品として広く用いられることが期待されています。さらに、石油代替原料として需要が高まる中、量産に向けた技術開発や大規模生産に向けた施設の整備などが急がれているため、早急な量産化が求められています。

〇糖液
生物由来の素材を原料に、微生物などの生物の力を利用して、プラスチックやゴム、繊維、燃料などの有用化合物を産生する取り組みを「バイオものづくり」といいます。バイオものづくりは、化石燃料を原料とせずに生産できることから環境配慮型社会に向けて大きな期待が寄せられています。糖液は、このバイオものづくりの基幹原料として、微生物と組み合わせることにより、繊維やゴム、プラスチックなどの石油由来製品の代替製品を生産できるだけでなく、食料品や医薬品などにも活用できることが期待されています。

〇バイオエタノール
エタノールは航空燃料やポリエチレンなどの原料になります。特に、従来化石燃料が使われている航空燃料に関しては、二酸化炭素排出量を軽減するために、航空各社が持続可能な航空燃料(SAF)の導入を積極的に進めています。このような状況下で、木質由来のエタノールの量産化が進められることで、持続可能な航空燃料の生産に貢献することが期待されています。

木質由来の糖液やバイオエタノールが社会に貢献できること

木質由来の糖液やバイオエタノールのメリットは、化石由来原料の削減による気候変動対策に有効であるだけでなく、非可食原料を用いることによる食糧不足問題の解決にもつながります。
現状、糖液やエタノールはトウモロコシやサトウキビなどの農業生産物から製造されています。一方で、当社の取り組みでは、非可食である木材を原料としており、食糧とは競合せず、安定して供給できる天然素材となります。
このように、食糧問題を考慮しながら、石油代替原料につながるバイオマスの利用を進めることが、持続可能な社会の実現につながると考えられています。

木材を原料とした糖液やエタノールが幅広く使用されれば、気候変動対策だけではなく食糧問題への手助けにもつながります。

パイロット設備について

木質由来のエタノールと糖液は、王子ホールディングスの将来の主力事業として、社会的価値だけではなく、王子グループ内でも大きく期待されています。

現在、東京都内にあるバイオケミカル研究センターが保有する設備の約100倍の規模になる予定です。目標とする生産量は、木質由来エタノールが最大1,000kL/年(重量換算820t/年)、木質由来糖液が最大3,000t/年(糖の乾燥重量)です。
原料の使用量は、木材チップとして約6,000t/年、木材パルプとして約3,000t/年です。稼働時期は2024年度後半を予定しています。

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